縦軸に絶対等級、横軸にスペクトル型(表面温度)をとった恒星の分布図のことをヘルツシュプルング・ラッセル図(HR図)と呼びます。 HR図は恒星の構造と進化を理解するための図です。

名前の由来

「ヘルツシュプルング・ラッセル」という長い名称ですが、2人の天文学者の名前が由来です。 デンマークの天文学者アイナー・ヘルツシュプルング(Ejnar Hertzsprung)とアメリカの天文学者ヘンリー・ノリス・ラッセル(Henry Norris Russell)によって提案されました。

図の特徴

hr
主系列 (Main Sequence)
多くの恒星は左上(明るく高温)から右下(暗く低温)の斜めに走る線上に並びます。 この線を主系列(Main Sequence)と呼び、この線上に位置する恒星を主系列星と呼びます。 主系列星は水素の核融合反応が安定していて、太陽もこの主系列星に属します。 主系列星は主系列の右下から左上に向かって進化していきます。 主系列上に位置する時間の長さは恒星の質量が関係しています。 質量が大きいほど核融合反応が激しく進行するので水素の枯渇が早く主系列上に位置する時間が短くなります。 つまり、質量の大きいO型やB型のような主系列星は寿命が短いです。
巨星 (Giants)
主系列の上方に位置する恒星は主系列の同じ表面温度の恒星に比べると明るいことがわかります。 これは恒星自体の直径が大きい、つまり巨星 (Giant star) であるためです。 巨星は中心核で核融合反応に使われる水素が枯渇して老年期に入った恒星です。
白色矮星 (White Dwarfs)
主系列の下方に位置する恒星は主系列の同じ表面温度の恒星に比べると暗いことがわかります。 これは恒星自体の直径が小さい、つまり矮星 (Dwarf star) であるためです。 矮星のほとんどは白色矮星であり、核融合反応が停止して一生を終えつつある恒星です。
不安定帯 (The Instability Strip)
主系列部分を除く中央上方から中央下方の帯状領域は脈動変光星の多くが属する領域で不安定帯と呼びます。 不安定帯上の恒星は、He III(重イオン化ヘリウム)の核融合が原因で恒星内部が不安定になり、膨張と収縮を繰り返します。 不安定帯の下は、ヘルツシュプルングの間隙 (Hertzsprung gap) と呼ばれる恒星のない隙間の領域が存在します。 恒星がヘルツシュプルングの間隙を横切る時は、中心核で水素の核融合が終わり、ヘリウムの核融合が始まる瞬間です。

ヘルツシュプルング・ラッセル図生成スクリプト

指定した恒星のHR図上での位置を確認できるスクリプトを作成しました。 横軸に色指数をプロットしたHR図なので色等級図(color-magnitude diagram)になります。 恒星名を選択すると、その恒星のHR図上での位置関係を黒丸で表示します。 HR図の縦軸は絶対等級、横軸はB-V色指数です。 恒星半径は大き過ぎるものがあるので計算値を平方根して表示させています。

恒星名

HIP番号 視等級 絶対等級 B-V色指数 スペクトル型

データ

このスクリプトで使用しているデータです。視等級は3等級未満です。

ダウンロード
hr.csv
レコード数
172
内容
1恒星固有名
2HIP番号
3視等級
4年周視差(mas)
5絶対等級
6B-V色指数
7表面温度(K)
8太陽を1としたときの恒星半径
9スペクトル型