恒星の明るさは「等級」という単位で表します。ここでは等級の仕組みについて学習しましょう。

等級の性質

天体の明るさを表す尺度を等級と呼びます。 等級の値が小さいほど明るい天体です。 0等級よりも明るい天体の場合は負数を用います。 等級が1等級変わると明るさは100の5乗根、すなわち約2.512倍変化します。 したがって、5等級の差は明るさの差が正確に100倍となります。

見かけの等級

地球上から見たときの天体の明るさを見かけの等級(apparent magnitude)と呼びます。 例えば、太陽は-26.7、シリウスは-1.46です。 肉眼で観測可能な限界等級は6等級です。 星図や星座早見盤の等級は見かけの等級が使用されています。

絶対等級

天体の見かけの等級は地球上の観測者から見た相対的な値です。 天体から離れるほど見かけの等級は大きく(暗く)なります。 そこで、天体を地球から10パーセク(32.6光年)の距離に置いたものと仮定したときの明るさを絶対等級(absolute magnitude)と呼びます。 これが天体の絶対的な明るさの指標となります。 例えば、太陽は+4.8、シリウスは+1.45です。見かけの等級とは異なる値です。

等級の計算

近距離の天体に対して恒星の絶対等級は視等級と視差から算出することができます。
絶対等級をM、視等級をm、視差をπとすると、

M = m + 5 + 5log10π

また、視差πは距離dに反比例するので、

M = m + 5 + 5log10d-1

したがって、

M = m + 5 - 5log10d

絶対等級Mから視等級mを計算することもできます。

m = M - 5 - 5log10π
例題1
ベガ(Vega)の視差は0.133″、視等級は+0.03等です。
ベガの絶対等級を求めましょう。

0.03 + 5 + 5log10(0.133)
0.03 + 5 + 5 * (-0.876)
答:+0.65
例題2
アルタイル(Altair)の距離は16.72光年、絶対等級は+2.22等です。
アルタイルの視等級を求めましょう。

16.72光年 = 16.72 / 3.26 = 5.13パーセク
2.22 - 5 + 5log10(5.13)
2.22 - 5 + 5 * 0.71
答:+0.77