恒星の色は恒星の表面温度で決まります。 また、表面温度の違いはスペクトルの吸収線に影響を及ぼします。 恒星の色と吸収線の現れ方で恒星を分類しましょう。

恒星の色と表面温度

恒星の色は表面温度によって左右され、高温度の星は青白く、低温度の星は赤みを帯びて見えます。 これはどのような物質も熱を加えると、その温度によって異なる波長の光を放射する性質があるからです。 温度が低いと物体から放射される光のエネルギーは小さくなるので光波の振動数も小さく(波長が長く>赤く)なり、温度が高いと振動数が大きく(波長が短く>青く)なります。

スペクトル

スペクトルとは電磁波(光)の波長ごとの強度の分布です。 恒星の光をプリズムを用いてスペクトルに分類すると、虹色の連続した光が見えます。 これを連続スペクトルと呼んでいます。 下の画像で黒色の線は吸収線と呼んでいます。 吸収線から恒星の表面大気中の原子や分子の組成量がわかります。 表面温度によって原子の電離度が違うため、吸収線の現れ方が異なります。 高温の天体では水素の吸収線が、低温の天体ではその他の重元素による吸収線が強く現れる傾向にあります。

fig

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fraunhofer_lines.svg

表面温度による分類

下記表で示したように高温からO、B、A、F、G、K、Mの型に分類されます。 さらに低温の褐色矮星などを分類するために最近になってL、T、Y型が拡張されました。 各型は等分されて高温から0~9の番号が振られます。 つまり、A型で最も高温の恒星はA0、最も低温の恒星はA9となります。 スペクトル型配列の覚え方は「Oh Be A Fine Girl, Kiss Me!」(ああ、お上品な女の子になってキスしてください!)が有名です。

スペクトル型表面温度(K)
O29000~60000
B10000~29000青~青白
A7500~10000
F6000~7500黄白
G5300~6000
K3900~5300
M2500~3900
L1300~2500暗赤
T600~1300赤外線
Y~600赤外線

光度階級による分類

吸収線を作り出す恒星大気の密度や圧力は表面温度が同じでも恒星によって異なります。 恒星の表面重力は恒星の質量に比例し半径の2乗に反比例するため、恒星の半径や絶対光度もスペクトルから推定することができます。 この方法でスペクトルを分類したものを光度階級と呼びます。 光度階級は基本的にI~Vの5段階に分けられますが、下記表で示したように上下に拡張して8段階になることもあります。

光度階級種類
0極超巨星
I超巨星
II輝巨星
III巨星
IV準巨星
V主系列星
VI準矮星
VII白色矮星

他にも特徴を持つものは下記表で示したように添え字を付けて表されます。 例えば、ベテルギウスはM2Iabであり、M型の3番目に高温な恒星で超巨星の中間の明るさという意味です。

添え字特徴
a明るい
ab中間の明るさ
b暗い
eスペクトルに輝線を含む
mA型金属線星の特徴を持つ
nスペクトル線の幅が広い
nnスペクトル線の幅が非常に広い
p特異なスペクトルを持つ
sスペクトル線の幅が狭い
ssスペクトル線の幅が非常に狭い
vスペクトルが変化する