恒星には明るさが時間と共に変化する変光星 (Variable star) が存在します。

変光星の種類

脈動変光星
恒星が膨張と収縮を繰り返すことで明るさが変化する変光星のことを脈動変光星と呼びます。 脈動変光星は変光周期と絶対等級との間に一定の関係があります。 変光周期が数か月から数年と長期に及ぶ変光星を長周期変光星と呼びます。 代表的な長周期変光星は、ミラ型変光星に分類されるくじら座のミラです。 変光周期が数か月以内の変光星で、特にHR図上でケフェイド不安定帯に属する脈動変光星をケフェイド変光星と呼びます。 代表的なケフェイド変光星は、ケフェウス座δ型変光星に分類されるケフェウス座δ星です。 脈動変光星は他にも、ケフェウス座β型変光星、ぼうえんきょう座PV型変光星、おうし座RV型変光星、はくちょう座α型変光星、脈動白色矮星に分類できますがそれらの説明は割愛させて頂きます。
食変光星
連星の軌道面が地球と連星を結んだ直線を含む平面上に存在する場合、主星が伴星に隠れているときは主星が暗く見えて光度が変わり、変光星として観測された恒星を食変光星と呼びます。 代表的な恒星は、アルゴル型変光星のペルセウス座アルゴル(2.12~3.39等級)、おおぐま座W型変光星のおおぐま座W星(7.75~8.48等級)です。
爆発変光星
恒星の外層や大気の爆発によって変光する恒星を爆発変光星と呼びます。変光に規則性は見られません。 代表的な恒星は、カシオペヤ座γ型変光星のカシオペヤ座ツィー(1.6~3.0等級)、かんむり座R型変光星のかんむり座R星(5.71~14.8等級)です。
回転変光星
恒星表面における明るさの分布が一様でないとき、自転に伴って明るさが変化して見える恒星を回転変光星と呼びます。 代表的な恒星は、りょうけん座α型のりょうけん座コル・カロリ(2.84~2.94等級)です。 パルサー(超新星爆発後に残った中性子星)も回転変光星の一種です。

長周期変光星 (Long-period variable)

長周期変光星は変光周期が数か月から数年の長期に及ぶ変光星です。ほとんどが赤色巨星です。長周期変光星はミラ型変光星と半規則変光星に分類できます。

ミラ型変光星 (Mira variable)
くじら座ミラが由来です。ほぼ規則的で長周期(80日から1000日)の脈動周期を持ち、2.5等級から11等級に及ぶ光度変化をします。 恒星進化の最終段階にあたる赤色巨星で、最後は外層を惑星状星雲として吹き飛ばし白色矮星になります。
半規則変光星 (Semiregular variable)
ミラ型変光星と同程度の周期ですが、光度変化の幅が小さく、光度に時々不規則な妨害が入ります。 半規則変光星は恒星進化の最終段階にあたる巨星または超巨星です。

ケフェイド変光星 (Cepheid variable)

ケフェウス座δ型(DCEP)、II型ケフェイド(CW)、こと座RR型(RR)、たて座δ型(DSCT)、ほうおう座SX型(SXPHE)に分類できます。 ケフェウス座δ型とII型ケフェイドを合わせて長周期ケフェイド(CEP)と呼び、この型の変光星は変光周期が長いほど絶対等級が明るい性質(周期光度関係)があります。 この性質を利用して銀河核、球状星団、銀河等の距離を決めるのに用いられています。

ケフェウス座δ型 (DCEP : Delta Cephei variables, Classical Cepheids)
種族Iの若い変光星で、金属量が多く質量も大きいです。絶対等級が比較的大きく巨星や超巨星に属します。 変光範囲は1~2等級、変光周期は2~50日ほどです。
例:ケフェウス座δ星 、いっかくじゅう座T星
II型ケフェイド (CW : Type II Cepheids)
種族IIの年老いた変光星で、金属量が少なく質量も小さいです。1日から50日の周期で変光します。 変光周期が1日から4日はヘラクレス座BL型変光星、10日から20日はおとめ座W型変光星 (W Virginis variable) 、20日以上のものはおうし座RV型変光星に細分類されます。
例:おとめ座W星、ヘルクレス座BL星
こと座RR型 (RR : RR Lyrae variable)
非常に短い変光周期(ほぼ1日以下)なので短周期ケフェイドと呼ばれています。 球状星団の中に多くみられることから星団型変光星とも呼ばれています。種族IIの年老いた恒星です。
例:こと座RR星、ペガスス座DH星
たて座δ型 (DSCT : Delta Scuti variable)
スペクトル型がほぼ一定で変光範囲と変光周期も非常に僅かです。種族Iの若い恒星です。 この型は恒星の大きさが変化する動径脈動 (radial pulsation) と恒星の形が変化する非動径脈動 (non-radial pulsation) の両方が原因で変光しています。
例:たて座δ星、とも座ρ星
ほうおう座SX型 (SXPHE : SX Phoenicis variable)
こと座RR型と同じく種族IIの年老いた恒星ですが、こと座RR型より暗く小さいです。 変光周期が0.25日以下と非常に短いので超短周期ケフェイドとも呼ばれています。
例:ほうおう座SX星、みずがめ座CY星