赤道座標は天体の位置を表す天球座標系の一つです。 ここでは赤道座標の性質と地平座標から赤道座標を求める方法を理解します。

赤道座標の性質

赤道座標は2つの座標値で表されます。

  • 赤経(α) または 時角(H)
  • 赤緯(δ)

時角Hは観測地での地方恒星時θと天体の赤経αとの差で定義されます。

H = θ - α

H = 0 のとき、その天体は天球上の真南(子午線上)に位置します。
H = 6 のとき、その天体は天球上の真西に位置します。
H = 12 のとき、その天体は天球上の真北(子午線上)に位置します。
H = 18 のとき、その天体は天球上の真東に位置します。
子午線:地平線上の真北から天頂を通って真南へ至る天球上の仮想的な大円のこと。

この定義から赤経αは、地方恒星時θと時角Hとの差で計算できることもわかります。

α = θ - H

球面三角形の法則

fig1

上図の球面三角形では球面三角法のページでまとめたように以下の法則が成り立ちます。

sinasinB = sinbsinA
sinacosB = cosbsinc - sinbcosccosA
cosa = cosbcosc + sinbsinccosA

この法則を用いて地平座標から赤道座標を求めます。

地平座標から赤道座標を求める

fig1

上図は球面三角形の法則で示した図を天球上に当てはめたものです。各記号の説明は以下の通りです。

A天頂
B天の北極
C赤道座標を求める天体の位置
a辺BCと等しい中心角:90° - δ
b辺ACと等しい中心角:90° - h (天頂距離)
c辺ABと等しい中心角:90° - φ
O観測地点 (天球の中心)
N真北
S真南
PAとCを結ぶ大円が地平線と垂直に交わる点
H天体の時角
φ観測地の緯度
A地平座標の方位角
h地平座標の高度
α赤道座標の赤経
δ赤道座標の赤緯

球面三角形の法則より、

sin(90°-δ)sinH = sin(90°-h)sin(360°-A)
sin(90°-δ)cosH = cos(90°-h)sin(90°-φ) - sin(90°-h)cos(90°-φ)cos(360°-A)
cos(90°-δ) = cos(90°-h)cos(90°-φ) + sin(90°-h)sin(90°-φ)cos(360°-A)

三角関数の余角公式より、

sin(90°-δ) = cosδ, cos(90°-δ) = sinδ
sin(90°-h) = cosh, cos(90°-h) = sinh
sin(90°-φ) = cosφ, cos(90°-φ) = sinφ

三角関数の補角公式より、

sin(360°-A) = -sinA
cos(360°-A) = cosA

したがって、

cosδsinH = -coshsinA
cosδcosH = sinhcosφ - coshsinφcosA
sinδ = sinhsinφ + coshcosφcosA

これで、地平座標の方位角Aと高度hから、時角Hと赤緯δが求めることができます。